阿部、初のリーグタイトルで監督を男に「ひとつ監督に返すことができた」

「相当な覚悟を持ってここにきました」

 「ミシャ監督が来てチャンスがありながら、恩を返せていなかった。監督にタイトルをプレゼントできてよかった」
 阿部は試合後、少しだけ安堵(あんど)の表情を浮かべた。2007年に千葉から浦和にJ国内最高額となる移籍金3億5000万円の大型移籍で赤き血のイレブンにやってきた。
 「相当な覚悟を持ってここにきました」
 移籍会見でこう語った男はそのシーズン、レッズのアジアチャンピオンズリーグ制覇とクラブW杯3位に貢献した。しかし、当時のオジェック監督は代表選手を数多く擁するチームで1年間スタメンをほぼ固定した。首位で迎えたリーグ最終戦、降格の決まっていた最下位横浜FC戦でチームは疲労困憊(こんぱい)。阿部も例外ではなかった。対面していたカズ(三浦知良)にサイドを破られ、クロスを上げられた。これがゴールにつながり、まさかの敗北。鹿島に世紀の大逆転優勝を許し、リーグ連覇を逃した。この日から阿部とレッズはリーグ優勝から遠ざかっていた。
 2010年の南アフリカW杯で活躍後、阿部はイングランド2部レスターに移籍。海外での武者修行を経て、2012年1月にレッズに復帰した。同じタイミングで広島からやって来たセルビア生まれの監督のもと、浦和は2013年にナビスコカップ準優勝。そして、昨季リーグ戦2位とタイトルを目前で逃していた。シルバーコレクターとやゆされる指揮官を必死に支えてきた阿部も「継続してやってきたことがまだ途中ですけど、ひとつ監督に返すことができたと思う」と胸をなでおろした。

 

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